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歳月〈下〉 (講談社文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 20934 位
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司馬遼ファンならぜひ
司馬遼太郎のすごさを思い知った一冊です。まるでそのシーンを見ているかのような臨場感、読者を主人公に惹きつけて離さずにクライマックスの”裁判長、私は・・・”のところでは号泣ものでした。ライバル大久保のこともほぼ感情交えず淡々と語っているのがさすが。作者の愛を感じる一冊です。
味わい深い作品
江藤という人物。
論理舌鋒鋭く、議論では誰もかなわない。
一方で、書生のように純粋な一面を持っている。
希代の権謀家と思われている、
それは江藤の一面を見た誤解である。
著者の目は、江藤の純粋な面を見逃さない。
敗者としての自覚もないまま、
日本の未来を思い描きながら、
あまりにも不当な裁判によって、
弁論の余地もなく裁かれてしまう。
大久保に対して、純粋でありすぎた江藤に
対する著者の理解が味わい深い。
司馬さんの労作。素晴らしい取材能力。
この「歳月」という本自体は、私の高校時代からあったものですが、当時
は一冊でしかも文字が小さかったので、全二巻に分かれ、文字が大きくなっ
た点は大変ありがたいものです。とても読みやすいです。
幕末は、わずかな志士活動だけで脱藩の罪となり、長い間、囚われの身と
なり、暗い世界で過す罪人から、明治維新で世の中が一変し、解き放たれ、
明治政府に出仕するや、眩いばかりの明るい世界に出て、今までの失われた
時、「歳月」を取り戻すかのように、昼夜、馬車馬のように働く司法卿・江
藤新平卿。
佐賀の江藤新平卿。初代司法卿、警察制度の整備、法の整備充実、法の下
の平等を唱え、近代日本の法治国家の建設に尽力のあった人。急進改革派ゆ
えに悲劇的な最後を迎えた人とも言えそうです。人権思想、平等思想に目覚
めた100年早く生まれすぎた天才的な人間は、当時の凡人達には、とうて
い理解されない運命なのです。
彼の理想とする未来の社会観、国家観が、彼自身の頭の中ではもう既に出
来ってしまっているのです。(政敵・大久保利通さんとは構想が違うのだが
)だけど当時の周りの人には判らない。天才肌ゆえに、周りがバカに見えて
仕方がないですよね。
もし、現代人がタイムマシンに乗ってこの時代にワープしたら、同じよう
に、この時代の周りの人間がバカに見えてしょうがないでしょう、誰でも。
それと同じです。
佐賀市に旅行に行ってみました。 勿論、故・「江藤新平」卿に会いにで
す。
彼の事がもっと身近に感じられるようにと。一応、江藤新平卿は、地元では
「佐賀の七賢人」の一人として称えられているようですが、佐賀市には、こ
れほどの大人物なのに、「大隈重信」と違って、資料館がどこにもなく、本
行寺にお墓があり、後は神野公園に銅像が建っているだけでした。資料が、
手がかりが少なすぎます。愕然とすると同時に、とても残念で寂しく思いま
した。
司馬遼太郎さんの佐賀での取材も、相当大変だったと推察されます。司馬
さんが佐賀の県立図書館の資料館に閉じこもって古文書を読みまくっていた
という話も頷けるというものです。
それだけに、書き手である司馬さんの取材能力、情報収集能力がモロに出
た作品だと思います。物悲しくも素晴らしい作品です。ぜひ「歳月」(上)
(下)巻とも揃えて読んでみてください。
江藤対大久保
廃藩置県を進め、司法制度を革新し、警察組織を強化し、近代法治国家としての基礎を造った江藤新平が主人公。江藤の立身は上巻で語り尽くされてしまい(なにしろ当時で5年ほど)、下巻はその落ち目から非業の死までをカバーしている。私利がなく、明晰な理想があり、行政能力もあるという点でバックグランドが似ているが故に必要以上に大久保利通の目につき、しかも江藤の薩長切り崩し策が見え見えなため忌み嫌われ、罠にはめられてゆく。その罠にまんまと乗るかのような江藤の行動が次々に描かれ、彼の情報力、政治力(世渡りのうまさ)のなさをまざまざと見せられ、万人が予想したように佐賀の乱にのせられ、敗れ、読者としてはがっかりさせられ続けました。が、大久保の江藤排除運動をファナティックに描き、江藤へ暖かい視線を送る著者の視点は印象的。あとがきも味があって読み応えがあった。
江藤の無念さを存分に晴らしたであろう傑作!
『歳月』の下巻は、1873年10月14日の征韓論を議する廟議の前後が描かれる”転変”の章から始まる。いかにも司馬遼太郎らしい、その場に居たかのような詳細さで語られ、緊迫感が伝わってくる。
明治という時代に合わせたかのように世に現れ、江藤新平という異才が必要とされる仕事(=初代司法卿)で基礎を築きつつも、志半ばで最後は非業の死を遂げる。下巻は、その生涯(41歳)の最期の約6ヶ月間を描くことに費やされている。
最終章で、作者は”江藤にとって意外であったことは…”という言葉を4度重ねつつ、江藤自身の心境に読者をも同調させて行き、最期は本当に呆気無いような終わり方をする。私は続きを欲する余り、『翔ぶが如く』第4巻を求めに走ったのでありました。
(本書を読み終わって思ったのは、日本にとって”法”の精神は輸入品であり、今に至るも変わっていないことに改めて思い至りました。)
講談社
歳月〈上〉 (講談社文庫) 箱根の坂〈中〉 (講談社文庫) 箱根の坂〈上〉 (講談社文庫) 箱根の坂〈下〉 (講談社文庫) アームストロング砲 (講談社文庫)
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