最上義光(もがみよしあき) 伊達・上杉と死闘を演じた出羽の勇将 (PHP文庫)



最上義光(もがみよしあき) 伊達・上杉と死闘を演じた出羽の勇将 (PHP文庫)
最上義光(もがみよしあき) 伊達・上杉と死闘を演じた出羽の勇将 (PHP文庫)

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最上義光のイメージを一変、でも義光というより、戦国絵巻といった感じ!!

 これまでの、「己の野望に忠実で知略の限りを尽くした義光」といううイメージを一変。
音を立てて変化する環境の中で、いかに生き抜いていくか、一人の男としての戦いを描く。結果として、義光一代で、山形の小大名から57万石の大名に。
 家康の意を汲んだ相続問題では、義光は次男家親を跡目に据え、長男義康を死に追いやるなど、的確な情勢判断の下、私利、肉親の情愛の中での葛藤を乗り越え、幕府の信頼を勝ち得ていくのに対し、私利・私欲のみで動いたその後の山形藩は義光の死後8年で瓦解していく様の対比は、好対照でおもしろい。

 ただ、上杉や伊達、秀吉や家康の記述が多く、義光の記述が少ないのは残念!!
善人に描きすぎ

伊達政宗とともに戦国時代の奥羽を代表する武将である最上義光の、青年時代から生涯を終えるまでを描いた作品です。
弟との家督争い、上杉家との庄内をめぐる戦い、徳川家に臣従した後の生き様などが一代記の様な記述で展開していきます。

最上義光には父や弟との確執や、天童氏や白鳥氏などと婚姻を結びながらも謀略で討ち果たしていったという暗いイメージがつきまとっています。
しかし弟と言われている中野義時はその存在自体が疑問視されていますし、実際のところ巷で言われるほど悪辣なことをしたかどうかはわかりません。
ただ作者はそこを意識したわけでもないでしょうが、数々の謀略を家臣である氏家守棟や志村光安の手によってされたものとし、義光は戦国を生き抜くためにやむを得ず策に乗ったような描写としています。
そこが私にとっては中途半端で、むしろ悪辣な武将として描いた方がすっきりとしたように感じました。
最上家の存続に腐心した義光の努力が、その死後の僅か8年後に改易という形で最後を迎えることを考えても、因果応報という流れとしてのストーリー展開にすべきであっただろうと、そこが残念でした。
最上義光を描いた貴重な作品ではありますが…

最上義光という人物に興味があり、最上義光歴史館にも遥々名古屋から毎年通っているものです。
義光を描いた作品は数が少ないので貴重ではありますが、内容がお世辞にも褒められたものではないと思います。
中野義時に関する家督相続の話は、この作品が書かれた時期を考えると仕方がないと思います。
その他にもいくつか首をかしげるような記述がありますが、伝記としてではなく義光という人物を描いた時代小説としてみれば、許容できない事もありません。

しかし、仮に時代小説としても内容が厳しいように思えます。
作者が義光よりも、伊達政宗、直江兼続に傾倒しているのは明らかで、彼らに関する話題の挿入があまりにも多すぎます。
最上義光の生涯において最大の見せ場あり、最大のピンチでもあった慶長出羽合戦は、敗北した直江兼続に関する賞賛ばかりが書かれており、義光に関する記述は夜襲に失敗したという程度。

またこれはこの本全編を通していえることですが、義光が活躍するという場面が殆どなく、最上勢の活躍する場面では、大抵が家臣である氏家守棟や志村光安達の手腕によるところのように描かれています。
そのとき義光はどうしていたのか、何を企図していたのか、そういった描写があまりにも少ないのです。
『最上義光』というタイトルを付けているのにも関わらず、事案の最終決定や家臣の統率等、大名『最上義光』として手腕を発揮している描写が非常に少ないことが悔やまれます。

この作品からは結局のところ、義光についてなにか漠然としたものしか掴めないと思います。これでは歴史年表をみているのと大差ないのでは… とも思えてしまいます。
私のように最上義光という人物を知ろうとして、この本を購入される方は、義光に関する記述が不十分なため注意が必要かと思います。




ワンアンドオンリーだからねえ…

最上義光を主役にした長編小説は、これしか確認できていません。
正直出来がいいとは…話としてもおもしろみに欠けますし、中野義時誅殺だとか近年の研究で否定された部分は仕方ないにせよ、伝説レベルの挿話を盛り込むのはどうかと。
ひどいのが白鳥十郎の娘・日吉姫と義康の結婚ですね。実質的な夫婦になっていますが、当時の義康は十歳前後ですよ…無理あるって。こんな年表調べればわかるレベルのでたらめ入れられてもなあ。おもしろければいいけど、つまらんし。

軍記ベースで書かれていますが、順序もそのまんまのためバラバラ。
出羽統一の過程等は、エピソードがブツ切りのまま羅列されていて、まったく何がなにやらわかりません。
義光の性格も意味不明。何がしたいか、まったく理解できない上、淡々と我が子をブチ殺します。そこには苦悩も何も感じられません。

最大の問題は、作者が政宗や兼続のほうが圧倒的に義光より好きらしく、本編と関係ないこの二人の挿話を入れてくるので正直無駄を感じます。この本の主役誰なんだよ。
慶長出羽合戦をおざなりにして、「政宗勇躍す」なんて章があるわけですが。
そもそも義光と政宗の対立が全然なかったかのようですが。
一体これはなんなのか。

正直何をしたいのかわからない作品です。これ一冊で義光を好きになれと言われてもなあ…でもワンアンドオンリーなんだよなあ…むー。
主人公の出番が三分の一程度というのは、もうJ●ROに電話していいレベルだと思いますな。
最上義光は偉大な人物

最初から、本当にのめり込んで読むことができました。

最上義光に関する資料は義光死後、何年か後すぐに最上家が改易となったことから伊達政宗や他の諸大名の資料に比べ非常に少ないものだといわれています。

その少ない資料の中で、かなり詳しく、とても理解しやすいことばで描かれている本書は、山形に繋がりがある方はもちろん、その他の方でも歴史のロマンを想像と共に楽しむことができると思います。

いくさの年号等は相手の記録からわかったとしても、当時義光がどんなことを考えていたか、何が好きで何が嫌いであったか等の細かい趣味、趣向まではわかりませんが、それは著者のせいではないと思います。

一般的にその資料の少なさから詳しく取り上げられることが少ない「最上義光」だが、この本を読むことで今までの知謀、謀略に長けた義光とはまた違った「気遣いができ、農民のような弱い立場の者に対してとてもやさしい最上義光の姿」が見えてきます。

義光の遺した偉業は、すばらしいです。この本を読むと下記のようなことが浮かびあがってきます。

内政では山形城の大改築、それまでは無理だといわれた奥羽の検地、そして日市や寺社町の設立、庄内では鶴岡の城や町の整備、羽前中の道の整備、山形藩の税金の廃止、家賃等の廃止等。

いくさの部類では山形を攻めた上杉軍の重臣、直江兼続との奥州関ヶ原の一戦で長谷堂城にて鉄砲隊を中心に渾身の力で食い止める最上軍、志村伊豆守。家康率いる東軍の勝利で勝ち組となった最上家。

そして、その勢いで庄内奪回に燃える義光の上杉攻め。そしてこれに勝ち庄内を制定。

外交で目を見張るべきは、豊臣秀吉時代から義光は徳川家康と大変親密な関係を築いていたこと。

現在の山形県の繁栄やそこに根付く文化、慣習の基礎を作ったといわれる最上義光を手軽に読むにはとてもいい良書です。




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